JLPT N1 読解 長文 #10/23

【読解文】

 日本は春の四月に年度が始まり三月で終わりますが、欧米を中心に世界の七割の国は九月に年度が始まり、夏のバカンスまでに一年が終わるようになっています。そのため、日本も世界の標準に合わせるべきであり、東大が率先して秋入学を全面的に導入する方向にしようとの提言が、大学内の諮問委員会で先日ありました。このような大胆な方策導入の背景には、より優秀な学生や研究者を世界中から集め、グローバルな大学間競争に打ち勝とうとする狙いがあります。既に東大の大学院生の七割は海外からの留学生であり、より優秀な人材集めを推進する必要に東大は迫られています。そして、世界のトップ大学を目指す一歩として、年度を世界標準に合わせたいとする考えに至りました。
  
 全体での導入ですから、日本人が多い学部生の入学も秋となる予定です。そのため、合格してから入学までの半年を学生にどう過ごさせるのかや就職活動への影響の懸念など課題があります。これらの点を解消するため、東大は入学までの半年間の準備期間のプログラムを用意したり、企業や官庁に学生の就活への協力を要請したりするなど、導入への準備をしていく予定です。また東大は、日本の他大学にも秋入学の導入を要請し、そのための協議会を呼びかけています。主要な大学の導入で、日本全体で議論を進めたい考えです。早慶など有力大学も協議会設置に前向きな意向を既に示しています。ちなみに、早稲田大学は秋入学を既に一部導入しており、今後もその拡大に努めるようです。

さて、大学間競争は世界のトップレベルの大学ではますます熾烈になるのは間違いないと思います。欧米のトップの私立大学はどこも授業料は高く、大変な額の寄付金や収入をさらに資産運用し、大変裕福で潤沢な資金力で優秀な研究者や設備を誇ります。Q3「それに対して日本の大学は運営費がはるかに小さい反面、授業料などは安くおさえられており、誰にでも解放的な大学と言えます。」また、今回の年度の変更は他の日本の制度にも影響を与えるかもしれません。日本は会計の年度も、小中高すべての年度も四月始まりです。

 また、サッカーのJリーグのシーズンも三月から夏を挟みます。このようなところも、もしかすると今後変わるかもしれません。サッカー選手も海外移籍が増えましたし、強豪国との強化試合は日本と他国が違う年度のため、組みにくいということもあります。さらに、夏場は欧米はバカンスで暑い時期に働くことを極力避けることができますが、日本の学校は夏休みがあるものの、なかなか社会全体は休むようにはなっていません。節電などのためにも、夏に休む必要から年度の変更が今後あるかもしれません。

【問題】

Q1考えの意味は?(一段落の最後の行)
①大学入学を優秀な学生が集まる時期にすること
②世界のトップ大学の入学時期にあわせること
③大学の入学時期を秋にずらすこと
④休暇の時期を夏に変更し、一年を終えること

Q2これらの点とは  
①秋入学制度の導入によって生じる諸課題 
②就活の時期が変わること 
③学生の半年間の空き時間の活用への工夫 
④これから学部生誰もが必ず抱える諸問題

Q3は何を言うために用いられたのか  
①秋入学導入による世界の大学間の競争激化の例  
②日本と欧米大学間の比較例 
③秋入学導入によるグローバル大学の影響 
④日本の大学の強みと弱み

Q4影響を与えるものとして正しくないのは? 
①Jリーグサッカーのシーズン 
②小学校の入学時期 
③企業の夏のすごし方 
④節電の時期

【単語】

バカンス:休暇
諮問(しもん):アドバイス
委員会(いいんかい):政策を決める国家会議
大胆(だいたん):思い切って力強く何かをやるさま
熾烈(しれつ):激しい、盛んなさま
潤沢(じゅんたく):かなり資金的に余裕があるさま
移籍(いせき):所属を他へ移すこと
強豪国(きょうごうこく):強い国
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